Re: some rights reservedについての考察

まずひとつ指摘しておきたいのは、"some rights reserved"というのは、著作権者が法で定められている著作権を全て保持している"all rights reserved"という状態から、いくつかの権利を放棄して、権利者の手元にsome rightsがreserveされているということだと思います。

クリエイティブ・コモンズの「 some rights reserved 」って変じゃないか?内で b:id:shiranuiさんのブックマークコメントへの私の見解を述べている箇所と同じなのですが、「帰属 - 非営利 2.1 日本」などのように利用形態によって権利の行使を行ったり、権利の行使を行わなかったりする場合、『いくつかの権利を放棄』という表現にはなりませんよね。権利を保持しているからこそ、相手の利用形態に応じた対応ができる訳ですから。

ですから、d:id:inflorescenciaさんの論理展開では、私の持つ違和感は解消されないです。

と仰っているように"all rights reserved"でも"no right reserved"="public domain"でもない柔軟な著作権保持のあり方を提示できるのがCCの良いところですね。

私の見解はちょっと違います。クリエイティブ・コモンズ以前でも、柔軟な利用形態の提示は可能でした。第三者に対して、著作権者が自らの著作物をどのように利用させるのか、どのような利用形態を許可するのかの提示は日常的に行われています。例えば、ソフトウェアのライセンスなんかもそのうちの一つでしょう。

クリエイティブ・コモンズの素晴らしいところは、それを素人にも解りやすく、手軽に扱えるようにまとめたところだと思っています。また、各国の著作権法を鑑みたローカライズを行っているところも素晴らしい点ですね。

public domainは全権利放棄なので、つまり帰属も放棄するということになるので、日本のCCライセンスはpublic domainにあたるライセンスはありません。本家のアメリカ版にはpublic domainにあたるライセンスがあります。

それは(米国法に基づく)著作権に限定した寄贈のことでしょうか。これはクリエイティブ・コモンズに入れては考えてなかったです。CC-GNU GPL と同様に、クリエイティブ・コモンズがそのライセンスを図表と簡単な言葉を用いて素人にも解りやすく、手軽に扱えるようにまとめたような形式で、他のライセンス形態を表現したものに過ぎないという認識でした。ただ、d:id:inflorescenciaさんのお蔭で、b:id:buruさんのコメントの意図が解りました。ありがとうございます。

さて、みっつめに指摘しておきたいのは、著作権は人権ではないということです。著作権はもともと独占権でしたが今では知的財産権という財産権の一種とされています。

そして財産権であるからには自分が買ってきた指輪をプレゼントとして渡せるように、あるいは遺産相続を放棄できるように、著作権も譲渡したりも放棄したりすることができるのです。

解りやすい解説、ありがとうございます。ただ、そのあたりは一応解っているつもりです。:-)