見出しに著作権があるという判例なんてあるのか?

結論を言えば、そういう判決はある。但し、常に認められる訳ではなく、あの記事の表現は多大な誤解を与える表現であると言える。詳細は下に記す。

「てくの生活入門」ブロガーのための著作権講座に違和感がある一文が。以下に引用。強調は私。

新聞社のウェブサイトで見つけた記事を掲載しているブログや掲示板をよく目にしますが、記事は著作物です。批評などの目的で公正に引用するのは構いませんが、そのままコピーして掲載することは許されません。見出しも著作物という判例があり、そのままでは使えません。

そんな判例は本当にあるんだろうか。私が知っているのは、知的財産高等裁判所による読売新聞東京本社とデジタルアライアンス社の判決なのだが、この判決では見出しに著作権を認めないということになっていたはずだ。
実際にどの判例なのかライターの猪狩友則さんか弁護士であり大宮法科大学院大学教授の牧野和夫さんにお教えいただきたいところ。

平成17年(ネ)第10049号 著作権侵害差止等請求控訴事件だと教えてもらった。この判決の関連部分を大胆に纏めるとこういうことか。

  • 見出しに著作物性があるか否かは一概に言えるものではなく、個別に検討する必要がある
  • この裁判で対象になった見出しについては著作物性はない

つまり、著作物である見出しも理論上は存在し得るという判決か。 但し、平成17年(ネ)第10049号の判決を見る限り、かなりの創作性がないと著作物性は認められないと考えられる。 結果として、『見出しも著作物という判例があり』という表現は事実誤認ではないが、多大な誤解を与える表現であると言えよう。

但し、その可能性が0ではないことに言及したに過ぎず、『見出しも著作物という判例があり』という表現は事実誤認であろう。